六話・社会人編、
専門学校は一年制なのであっという間に過ぎた。大井のトゥインクルや川崎のナイターも良く通ったが大した勝ちには無らず、それ程ハマらなかった。
卒業間近になってくるにつれ、焦りが半端では無くなる。何故か?
私はマルイで買い物をしている時に何気なくカードを作ると、キャッシング20万まで使える魔法のカードを手に入れてしまったのである。
初めてカードのキャッシングをしてみる、一回払いの三万を試してみた。
ATM機からカシャカシャカシャの音がし、見事に三万を手にした。
気分は無双状態である。
すぐさまスロ屋に行くが、当時のスロはイベントを調べて行かないと血祭りにされる事は周知の事実。無論、携帯やネットが無い時代なのでネタだけで動いていた。
辿り着いたのは横浜のポパイである、当時のポパイは今の外道的な設定では無い、バキバキの裏モノの聖地であった。
しかし、手持ちの三万ごときで裏は手が出せない。
『クランキーコンドル』設定1でもこぼさなければ食えるのは嘘だが、ゲーム性が実に面白い。上段7並びテンパイは確定目なのだが実に美しい出目であった。
『よし、今日はクラコンで勝負だ!』
数時間後
『またやっちまった、何やってんの?何で借りた金が溶けてんの?』
『おい、コラ!ええ加減にせいよ!』
台をど突くがレグばかりで増えない…
いつもの如くうなだれて帰路する。
月日が経ち、専門も終わり、バイトも辞める。
専門を卒業すると同時に即入社した。
入社と同時に寮に入居した。入居するにあたり引越しや、必要な物で10万が飛んだ(最後のバイト代がぶっ飛んだ)
入社してからは忙しかった、新人は神経を使うので本当に疲れた。スロットを打つ気にもならない程疲れた。
この会社の給料日は15日であった、基本給が14万7千円、あり得ないほど安かったが技術職のため最初は仕方が無いと思った。
給料日。
給料は手渡しであった。早速トイレに駆け込み諭吉を数えると6人の諭吉さんしか入ってない…
全身から血の気が引いた、足りない…
学生ローンは完済したが、マルイがあった、しかも毎月35000円…
寮費や社会保障費を引いてるためと途中入社なのでこの金額らしい…
んな事はどーでもいい💢
『ふざけんな、バイトのほうが稼げるじゃねーかよ!』
残金二万じゃメシが食えねーし、水飲んで生きろつーのかよ!
クズな先輩と二人で残り、掃除をしている時に給料の件を聞いてみた。
クズ先輩に
『これ、マジっすか?(給料の明細書を見せて)』
クズ
『最初はな、じきに慣れるよ』
はぁ💢マジかよ、クレージーじゃね💢
帰宅後に考えた、社長に前借りするのは、まだ早いし、無理だろう、
マルイが確か、まだ五万程借りれたな、
給料日の日に借入をする。
ついに借金戦争が加速的に幕を開けようとしていた。
借入件数1件
借入額20万
毎月の支払い4万円