十五話・アングラ博打『キューティーバニー』編
川崎を去る前に東神奈川に引越した先輩(仮名で沖と呼ぶ)から聞いたネタなんだが、凄まじいイベントがあるとの事で私も現地に行ってみた。
川崎から東神奈川までは電車で15分程の距離なので仕事が終わってからでも21時には到着する。
店名は忘れたが、駅前のビルの地下にその店はあった。入口にはハウスルールが書かれている少し危ない店である。
そこで私は伝説の権利物『キューティーバニー』と出会う事になる。
※スペック的には330分の1なので甘くも辛くもないわけだが3回目の権利の最終ラウンドで9個以上の玉を入賞(普通に打っていればほぼクリア)させると、28%で連荘抽選が行なわれ、当選した場合は大当り確率が7分の1になるという(勿論ここから3回分獲得でき、この最後でも連荘抽選は行なわれる)
とんでもないモンスターマシンなのだが、アングラであるこの店の売りに問題があった。
閉店はピッタシ23時なのだが、閉店の30分前からハウスルールのレースが始まるのである。
レースとは、1番最後に当たりを引いた人は優勝であり賞品として五万発(125000円)
2位は一万発(25000円)
3位は五千発(12500円)
もう、完全な鉄火場である。12台数程あるが21時過ぎからは満席である。
私は完全な虜になっていた。
先輩がラスト10分前に当たりを引く。
私は5分前に当たりを引く。
※確変中の当たりも当たりとして認められた。
私の優勝は確実と思い先輩に『ニヤッ』と嫌味な笑顔を見せる。
しかし、残り3分前に周りが当たり始まる…
『んなアホな…』
先輩は確変が終わり予選落ち。
ラスト1分、私にはまだ3回権利の一回が残されていた。
『ここで当たれば五万発!当たれよ!』
と願うも周りの連中に同時に当てられ予選落ち…
結果は4位、何も賞品は無い。
帰りにアングラビルの隣に吉野家があり、2人で一言も喋らずに帰宅した。
帰り際に沖が
『ここは危ないから当分は止めよう』
私は
『そうですね…』
と言い帰宅したが、その後はハウスルールが無くなるまで、沖と私は基本クズなので、何度も通ったのは当たり前の事であった。
沖『また2位か…』
私『ここの鉄火場、多分遠隔ですね…』
沖『それしか考えられないだろ、ラスト30秒で逆転なんて…』
いつもの吉野家で軽くビールを飲み、帰宅する。
私は一人で帰宅中に
『ヒリつき過ぎたな….ヤバイ沼にハマってしまったよ…』
と歩きながら独り言を言っていたのは忘れていない。
無論、金の減り方も尋常では無かったのは確かである。
結果的には2人とも2位までが限界であった。
多分、遠隔だったのは間違いないだろ。
数年後、東神奈川の地下にあるアングラな店は潰れてしまった…
そしてこの店のおかげで私は四枚目の魔法のカードを作っていたのである。
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