博打との死闘

博打のヒリつきに狂い借金を重ねていく実話

七話・初めての平和島(競艇場)

川崎の会社に入社して2か月が過ぎようとしていた。

 

毎日が忙しく、新人なのでクタクタになりながら寮に戻る生活をしていた。

 

寮生活では2人一部屋の配置になり、2段式ベッドで先輩が上に寝る義務となっていた。

幸い、静岡から出て来た一つ上の先輩は非常に気を使う方だったので暮らしやすかった。

 

寮の人達は休みが皆バラバラなため、休日には誰もいない日が私にとってのAV鑑賞が堪能出来る安息日でもあった。

 

そんな若者の楽しみがある日の朝に突然、部屋に5歳年上のM先輩が入って来て。

 

M先輩

『今日は暇か?岩と行くところがあるが行くか?昨日は給料日だから金はあるだろ?』

 

『えっ?まぁやる事は無いですけど…』

(あるに決まってんだろ!AVが観れねーよ💢)

 

M『よし、早く着替えろよ、開門に間に合わなくなるぞ』

『どこに行くんすか?』

 M『着くまでの楽しみだな(ニヤリ)』

 

完全に嫌な予感しかしなかった。

 M先輩と岩先輩と三人で楽しみ(不幸)な場所に向かった。

 

2時間後

平和島競艇場に到着していた。

 

想像通りの展開に驚きもせずに場内に入り、勝負をし始める。

 

私は三万しか手持ちが無い(それもギリギリ)

 

その日は案外固めに決まっていたためトントンで6Rまで遊んでいた。

 

7Rも2ー1で決まり取ったな、と思い払戻に行き投票券を入れると

『この投票券はハズレてるからさっさと破り捨てろ』

みたいな音声が流れた。

『ん?何で?1ー2当たってんだろ!』

 

どうやら競艇の買い方を知らない私は逆目のためにハズレていたらしい。

競馬なら馬単みたいな事である。

 

この出来事には愕然とした。

そして三人がオケラになりフィニッシュ。

 

帰り際に、岩先輩が

『お前、金残ってるか?』

 

『3千円だけまだありますよ』

 

岩『甘ちゃんだな、俺は帰りの電車賃しか無い、ギャンブルつーのは最後の100円まで諦めずに買うもんだ、覚えとけよ』

 Mは『そうだな、まぁそれが基本だぞ』

 

この時に私は気づいた、この外道連中はクズだ、ろくでなしで間違いないと…

 

そして夕方頃に寮に近づくと、 Mと岩が溝の口のパレスで勝負して帰ると言っている。

 

※私はすでに競艇でスッてからはパチンコで取り返すしか無いと思っていた。

 

三人でATMに並び金を下ろす。(私はマルイのカード残高をチェックし一万だけ引き出す)

 

パレスはパチンコが2.5円交換だったが比較的に釘は開けてる店であった。(当時はまだ釘師も存在していて命釘の他に寄り釘やハカマ等の微調整が絶妙なのである)

 

三人でスランプ台は避けて釘をチェックし台を慎重に選ぶ。

 

そして私は平和の『ダービー物語』で勝負を決める。(現代ならライトタイプの確率なのだが当時の連チャンと一回の出玉の迫力は半端では無かった)

.

『ブラボーキングダム』を死ぬほど打った私は兄弟機である『ダービー物語』を止め打ちを駆使しつつ、連チャン誘発打法で勝負したのであった。

 

数時間後

 

奇跡は起こり得るものである、私の周りは出玉の箱だらけで、コックピットの中にいる状態まで出たのである。

 

結果は35000円程の勝ちでこの日は逃げ切った、勝ちを報告しに2人のクズ先輩達を店内中を、探しまくるがいない…

 

『野郎共、先に帰りやがった…外道め』

 

寮に帰ると勝った安堵もあり風呂に入り、湯船に浸かる。

 

ふと、振り返ると朝の財布の中身は変わって無いが…

気づいてしまった…

 

『マルイからまた借りてんじゃん、あれ、一万負けてね』

 

 

また自転車操業をしてしまい負の連鎖からまだまだ抜けれない状況であった。

 

借入件数1件

借入金20万

毎月の支払い4万

 

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